2010年6月23日水曜日

ユンボが見た 陶螢庵みとら窯物語 Ⅱ

窯出しの準備開始

5月16日 窯出しの日が来た
午前10時 神棚に手を合わせ 
窯出しの準備が始まった
関係者は 全員集まっていた
耐火れんがが外された
中の様子が見えてきた

1280度の温度に耐えた 
作品が見える
耐えきれなかった 作品も見えた
作品を出すには 窯の中が少し熱かった
そこで食事をしてから 出すことになった
赤飯が用意され 
期待にはずむ気持を抑え
皆で食べた

窯出しが始まった
 
第1号は 上の窯の
横ざし下に置いてあった
岡田さんの大作だった
素焼きして 何の問題もなかったが
真中が十字の形に 割れていた
今回は 大作が割れたり 
ひびが入ったりしていた
作陶に 問題があったのかもしれない

作品が出てくるたびに 
大きな歓声が あがる
小原さんの作品が全体的に
いい仕上がりだった
毎年のことだが 
初めて登り窯に入れた人の
作品の仕上がりがいい
去年は 槌本さんの作品がよかった

窯元の作品 抹茶茶わんの出来がすごい
長年やってきた中で 今回のが最高だ
宝ものになるのでは ないだろうか

すべての作品が 出し終わったのは 
ちょうど 3時になろうかとしていた
各々の作品を 集め
一つ一つ その出来を確かめ
よろこびに浸る人
がっかりする人
次の作品作りに 構想をはせる人
それぞれの 思いが交錯する
登り窯の窯出しは 終わった

ユンボが見た陶螢庵みとら窯物語 Ⅱ

5月1日 本焼きに入った

前日からすでにはじまった 本焼きだが
4日まで本当に 炊き続けるのか
先の長いことになった
午後1時には下の窯が 
1200度を達成した
そして 上の窯を1200度に 
上げる作業が始まった
一進一退を繰り返し
1100度まではいくが
なかなか1200度に 達しなかった

5月2日 午前11時 ダンパーを開け
ついに上の窯も 1200度を達成した
火種を作り 灰で一杯になるよう
気を使いながら まきをくべる
横ざしも 10本から5本に少なくし
温度が下がると同時に 
その繰り返しだ
下と横ざしの格闘だ

5月3日ついに1284度を達成

午後2時過ぎ 1240度を超えた
窯元にそれを告げると 
1280度まで上げることになった
過去には1240度で終わっていたが
今回はその上の温度に 
挑戦することになった
中の作品が 壊れてしまわないか
心配したが 大丈夫だということで
未知の温度に上げることになった

横ざしを3本にして 温度計との
戦いが始まった
午後3時前 1284度を達成した
しばらくこの温度を保ちながら
達成感を 味わった

今度は下の窯を 
その温度まで上げる作業が 始まった
火種を作り 横ざしを繰り返す
5月4日最終日へと 
日付も変わっていた
すでに 下の窯は1240度を
達成していたので 
最後の仕上げであった
今回の登り窯は 
最初から順調であった
こんなに簡単に 
温度が上がっていいのかと
逆に心配になるほどだった
去年までの格闘が 嘘のようである

登り窯の窯焚きが終了

午前11時 耐熱コンクリートで
焚き口すべてを ふさいで窯焚きは終了した
作品の仕上がりが 気になるが 
とりあえず 今年のお祭りは終わった
皆の顔に安どの色が見える

露天ぶろにつかり 疲れをいやす人
ビールを飲んで 喉をうるおす人
食事の用意をする人
あとかたずけをする人
作品の仕上がりを 話し合う人
それぞれが 満足した窯焚きだった

2010年6月2日水曜日

ユンボが見た 陶螢庵みとら窯物語 Ⅱ

作業3日目(30日)600度が目標

作業2日目は 
350度で終了するはずだった
夕食を食べ 一杯飲んで
解散することになっていたが
窯元と小林千夢、藤牧夫婦が
今日からとまることに なっていた

翌日 データを見て驚いた
夜11時まで 窯を焚きつづけ
540度まで 温度が上がっていた
午前9時30分 窯の温度は
270度だった

今日は600度が目標だが
すでに 540度を達成していたので
600度以上に 上げるような気がした
午後1時には目標は 達成した
4時まで 600度台を保った
いよいよ 700度まで上げる 
指示が出た
焚き口に薪を投げ入れ 
火種をどんどん作った

そうしないと 
窯の温度が上がらないからだ
横ざしが始まった
焚き口と 横ざしのタイミングが
あわないのか 
なかなか温度が上がらない
それでも6時には 700度になった

3日目も窯を温めるのが 予定だったが
窯の調子がいいのか 
どんどん温度を上げていった
本焼きに 突入していた
真夜中には 下の窯が1081度
上の窯が 889度となった
今年は 長く火を焚き 温度を上げて
今までにない作品作りを 
目指しているようだ